ホーム 問い合わせ・アクセス リンク English

センター長挨拶

学士課程教育の質的転換と組織的な取組み -プログラムとしての学士課程教育-

21世紀教育センター長 木村宣美
21世紀教育センター長
木村宣美

『大学改革実行プラン~社会の変革のエンジンとなる大学づくり~』(文部科学省 平成24 (2012) 年6月)や『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)』(中央教育審議会 平成24年8月28日)では,将来の予測が困難な時代にあり,高等教育機関である大学には予測困難な次代を切り拓く人材の育成や学術研究の推進が期待されています。また,我が国の目指すべき社会像を,優れた知識やアイディアの積極的活用によって発展するとともに,人が人を支える安定的な成長を持続的に果たす成熟社会であると位置付け,このような社会において求められる能力は,答えのない問題に解を見出していくための批判的・合理的な思考力等の認知的能力,チームワークやリーダーシップを発揮して社会的責任を担う倫理的・社会的能力,総合的かつ持続的な学修経験に基づく創造力と構想力,想定外の困難に際して的確な判断ができるための基盤となる教養・知識・経験等,予測困難な時代において高等教育段階で培うことが求められる「学士力」(『学士課程教育の構築に向けて(答申)』(中央教育審議会 平成 20 (2008) 年12月24日))であるとされています。このような「学士力」を育むことができるように,主体的な学修を促す学士課程教育の質的転換が必要であり,学修成果の把握(アセスメントテスト等),実践的キャリア教育・職業教育の充実,欧米並みの水準で質を伴った「学修時間の飛躍的増加」が必要であるとされています。そして,質的転換の循環を作り出す始点としての学修時間の増加・確保が,「教育課程の体系化」(教育課程全体として,育成する能力・知識技術・技能と個々の授業科目の関連性の明示;科目ナンバリング等),「組織的な教育の実施」(教員全体の主体的な参画により,教員間の連携と協力により教育を実施),「授業計画(シラバス)の充実」(事前の準備や事後の展開等の指針,他の授業科目との関連性等,授業の行程表として機能するよう作成),教員の教育力向上・学生の学修環境の整備等を進めるための「全学的な教学マネジメントの確立」の諸方策と共に進められることが必要であるとの提言がなされています。すなわち,教員中心の授業科目の編成から学位プログラムとして,組織的・体系的な教育課程への転換が求められています。

21世紀教育センター長 木村宣美

 本学の教育理念と目標に沿い,学士課程教育及び大学院課程教育の充実を図るため,これらに伴い学内横断的に対処すべき諸課題に対処し,迅速かつ効率的な意思決定を行うことを目的に,弘前大学教育推進機構(以下,機構)が平成24年7月に設置されました。機構は,教育推進機構会議・教育推進室・21世紀教育センター・国際交流センター・学生就職支援センターで構成され,3つのセンターの所掌する教育に係る事項について,連絡・調整及び協議を行うための連絡協議会が置かれています。機構には,機構長を補佐し,教育の改善及び充実に係る企画立案等を行う組織として教育推進室があります。教育推進室で企画・立案された教育の充実に係る事項は,教育に責任を負う各学部・研究科の副学部長・副研究科長をも委員とする教育推進機構会議で審議され,学士課程として教育改革に対応する環境が整備されました。このような環境で,教育推進室会議における検討事項で教育推進機構会議の議を経て,現在議論されているものに,例えば,1) 科目ナンバリングの導入と2) GPA算出データの活用があります。GPAのデータは,①進級・卒業・退学の判定に用いる,②科目間の成績評価結果の標準化に用いる,③支援を必要としている学生の特定に用いるという用途で活用されていますが,科目ナンバリングの導入と共に,本学におけるGPA算出データの活用は,学生の修学を支援する試みであり,これらの取組みはいずれも,入学者受け入れ方針,教育課程編成・実施の方針,学位授与の方針に基づき,各学部・研究科の創意工夫が求められる事項であります。また,『国立大学法人弘前大学平成24年度の業務運営に関する計画(年度計画)』のI 大学の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置 1 教育に関する目標を達成するための措置 (1) 教育内容及び教育の成果等に関する目標を達成するための措置の「学生自身による学修に関する自己評価制度を導入する。」及び「授業の事前・事後学習を明示するなど,学生の自主的な学習を促し,単位制度の実質化を推進する。」を達成するために,21世紀教育科目の導入科目(基礎ゼミナール)において,平成25年度から,学習記録(ラーニング・ポートフォリオ)を作成することとなりました。これは,学生の能動的な学修(アクティブ・ラーニング)を支援し,促す試みの一環として位置付けられています。また,21世紀教育科目のすべての授業科目の平均点及び5段階評価の割合を,教職員限定で閲覧可能となる環境を整備しています。成績評価の標準化・平準化に向けた教員による議論を期待しての試みです。教員には「プログラムとしての学士課程教育」のコンセプトを理解し,大学教育の質的転換の担い手となることが期待されています。

 

21世紀教育センター長
木村宣美

次ページ 「教養教育」と「専門教育」の有機的連関 - 学士課程教育の質の保証 -