「世界自然遺産 白神山地の保全と活用」を開催しました。

更新日:2016-02-12(金)

 平成28年2月4日(木)14:20~15:50,弘前大学総合教育棟406講義室にて,「世界自然遺産 白神山地の保全と活用」を開催しました。本講演会は弘前大学生涯学習教育研究センターが世界自然遺産の保全と利活用について考えたい人を対象として実施したもので,一般市民や弘前大学生等95名が参加しました。
 白神自然環境研究所の中村剛之氏の概要説明,曽我亨生涯学習教育研究センター長の開催挨拶のあと, WWFジャパン自然保護室の主席コーディネーターの岡安直比氏を講師にお迎えし,「世界自然遺産のこれから—希少価値を求めるか,馴染みやすさで広く知ってもらうかの悩みどころ」をテーマに講演が行われました。
 講演では,世界遺産の歴史,世界遺産の今とこれからについて,具体的な事例でわかりやすくお話しくださいました。
 まず,世界自然遺産「白神山地」をモデルとして,行政やNGOが担っている入山者に対するマナーの啓発や入山手続き指導等のパトロール,担い手についても考えていきたいエコツーズムの推進,研究者やNGOが実施しているモニタリング調査等,それぞれの取組事例を交え,重要性について話されました。
 次に,世界自然遺産への登録を目指しているブータンについて,国土の72.5%が森林であり,アジアでも有数の森林と生物多様性を誇るっていること,しかし,人口密度は低く、産業も限られるため,エコツアー開発に期待がかかっている現状が紹介されました。
 それから,アフリカで最近世界自然遺産登録された,カメルーン,コンゴ共和国,中央アフリカ共和国の国境沿いにあるロベケ国立公園の現状について,政情の安定しないスーダンから,武装騎馬集団が象牙の密猟に来ている問題やそのことに対して国境を越えた共同パトロールやエコツーリズムの基礎となる生物多様性のモニタリングをWWFジャパンの支援で開始したこととその内容について,さらには森林省のロベケ国立公園管理事務所に協力し,パトロールを組織したことや地域のコミュニティ協同組合との協働の大切さ等を話されました。
 また,アフリカ最初の自然遺産ヴィルンガでは,ゴリラの生息地であることで高額なツアーが組まれ,早くから人気を集めているが,森林保全と持続可能な開発両立を目指し,持続可能な開発の目玉として希少種ボノボを題材にしたエコツーリズム振興を模索していることが紹介されました。
 最後に,新たな保全と利用の模索の将来像として,非保護区で生物多様性保全と地域住民の持続的経済発展が両立することについてお話しされ,締めくくられました。
 受講者からは,「観光やツアーの大切さを再認識することができました。私も野生動物に関わる仕事をしたいです」,「ブータンの自然保護の方法は地方でも模倣することができると思うので,少しずつ日本も見習えばいいと思った」,「“人に慣れたゴリラ”など野生動物が人に慣れてしまっている事例がいくつか見られたが,これは良いことなのだろうかと疑問を感じた」、「保護された自然を長期間維持していくためには最初だけ活動がさかんになるのではなく,地域の住人の生活をかえりみた生物多様性保全が大切だと分かった」といった声が寄せられ,環境の保全に配慮しながら,自然資源の管理と活用について考えるための有意義な講座となりました。